前人未到、オリンピック3連覇達成の記録を持つ、柔道家・野村忠宏さんは、3歳の男の子のパパ。ご自身のブログには、時々、息子さんや奥様とのエピソードが綴られています。そんな野村さんに、現役アスリートならではの子育て論や、素敵なパパぶりについて伺ってみました。
お子さんが生まれてから、生活や気持ちの変化はありましたか?
競技者なので、子どもを持ってからもライフスタイル自体はそれほど変わってはいないんです。でも、子どもと過ごす時間や、家族との時間は増えましたね。毎日一緒にいるのに「えっ、こんな言葉どこで覚えた?」っていう発見があったり、1週間離れただけでも「あれ、デカなってる!」ってびっくりしたり。どんなことでも楽しいですね。
でも、生まれた瞬間は、母親の中から生まれてきたことや、自分が父親になったってことなど、ただただ、何もかもが不思議で仕方なくって。よく大泣きするお父さんの話とか聞きますが、正直なところ、そういう気分じゃなかったですね。
出産後、病院へ一番にハイヒールのモモコさんがかけつけてくれたんですよ。そこで「こんな嬉しそうじゃない旦那、 はじめて見たわ! 大喜びするとか、感動して泣くとか、なんかしろよ」って言われたんです(笑)。
あのときは、そう言われても、本当に不思議すぎて、どんなふうに喜びを表現していいのかわからなかったんです。でも今は、子どもが生意気なことを言っても、どんな悪さをしても「全部かわいい」って思えるんですけどね(笑)。
柔道一家で育った野村さんですが、野村家の子育て方針はありますか?
教育方針やしつけに関しては、とくに何も決めてないんです。いろんな人との関わりや生活の中で学んでいくものだから「なんとかなるやろ」って思って。ただ、何をするにしても、自分も楽しみながら、子どもと一緒にコミュニケーションをとるようにはしていますね。
最近、桃太郎とかストーリー性のある絵本を求めだしてきたので、読むのが結構大変なんですよ。子どもは話がわかってるから、どんどん次のページをめくろうとするんで、それに便乗してピュッとページをとばしてみたりして! 子どもとの、そんなしょうもない格闘も楽しいんですよ。
お子さんとの時間を大事にされているんですね。
子どもと二人でコンビニやスーパーにも行きますよ。そこで、好きなものを買わされるんですが、嫁が一緒だと「1個だけやで」って言われるのがわかっているらしく、その時は時間をかけて1個を吟味して選ぶんですよ。でも、自分と行った時は、サッと1つカゴに入れて、「パパこれ食べたい?入れとくわ」って2つ目も入れちゃう(笑)。賢いでしょー、パパとママを使いわけてる! かわいいんだけど、どこまで許していいのかっていうのには葛藤がありますね。
水泳と柔道は、やらせようと思っています。スポーツ選手で成功している人の中には、子どもの頃に水泳をやっていた人も多いし、体を鍛えるのに水泳はいいんですよね。それと、自分が水泳と柔道を経験しているので教えてあげることもできるし。
基本的には、子どもが他にやってみたいと思うスポーツは、なんでもさせてあげようとは思っています。自分も、柔道一家だからといって「柔道をしろ」「強くなれ」など、親から言われたことは一切ありませんでした。それでも、最後に柔道をやろうと決めたのは自分だし、ここまでやってこれたのは、自分で柔道を選んだからだと思うんです。
どんな競技を選ぶかは子どもが決めることですが、選択肢を与えるのは親の役目なので、いろんなことをやらせてあげたいですね。
子育てって、なんだかんだきれいごと言っても、ストレスは溜まるんですよ。いろいろな経験も最初は手探りだったり、不安なこともいっぱいあるし。だから、ある意味「忍耐」だと思うんです。自分は柔道という競技で、忍耐を身につけたことで成長できたし、トップにもなれたと思うんです。そう考えたら、子育ては柔道と似ているなあってつくづく思いますね。子育ては大変だけど、喜びや楽しみを見いだせば、子ども以上に親が成長できると思うんです。子どもと一緒にいろんな経験ができるのはとても楽しいですし、ありがたい! 子育ての醍醐味ですね。
彼女にとっても子育ては初めての経験なので、戸惑ったり、悩んだり、それ以上に精神的な疲れが溜まっているのも、すごくわかるんですよね。そんな嫁の姿を見ていたら、できるだけ協力しようって思うんです。
今までは柔道だけをやってきたので、これからは嫁と一緒に子育てを楽しみながら、知らなかったことに挑戦していきたい! 人生の楽しみがひとつ増えましたよ。